

昭和化学工業 岡山工場の採掘地である「昭和化学工業 ひるぜん珪藻土自然サイト」が、環境省の「自然共生サイト*」に認定されました。
採掘という事業活動の地が希少動植物の生息・生育地へと再生した本取り組みは、事業活動と自然環境保全との両立の可能性を示すものです。
数十万年前、まだ人類がいなかった頃、蒜山全体は湖でした。湖があったことで植物性プランクトンである珪藻が繁茂し、その堆積によって現在の珪藻土が形成されています。そうした蒜山の原風景が感じられる場所にしたいとの思いから、ここは「ひるぜん珪藻土自然サイト」と名付けられました。
*「自然共生サイト」:民間の取り組みなどによって、生物多様性の保全が図られている区域を認定する制度。2025年4月に地域生物多様性増進法によって法制化。
採掘から生まれた自然環境
昭和化学工業 岡山工場では、珪藻土採掘により、すり鉢状の窪地が形成されます。これまでの採掘地は公共残土受け入れなどで平地に復旧し、農地・牧草地・太陽光発電用地として有効活用しています。
しかし、本採掘地は異なる歩みをたどりました。
窪地が創り出した生態系
採掘時に表土である黒ボク土や珪藻土を除いたことで貧栄養土壌となり、周辺の地形と相まって窪地には地下水や雨水が溜まりました。すり鉢状の形状であるため、それほど大きくない面積にも関わらず、陸地、湿地、水域と多様な環境を有しています。やがて植物が芽吹き、希少な生きものが集まり、この地は里地里山に特徴的な生態系を有する場所へと変化していきました。
真庭市と昭和化学工業は、この変化について有識者の協力のもと、モニタリングを実施。その結果、環境省が掲げる「30by30目標(2030年までに陸域と海域の30%以上を健全な生態系として保全する目標)」の趣旨に合致すると判断し、登録申請しました。
こうした取り組みが評価され、「昭和化学工業 ひるぜん珪藻土自然サイト」は、以下の観点から環境省より自然共生サイトとして2025年12月16日に認定されました。
・里地里山といった二次的な自然環境に特徴的な生態系が存する場
・希少な動植物種が生息生育している場又は生息生育している可能性が高い場
なお、本認定区域は、真庭市および昭和化学工業の所有地であり、適切な管理のもと保全を行っています。
認定された内容の詳細
本サイトの面積は約12ha、中央には約3割を占める開放水域があり、この水域を囲むようにススキ群落とアカマツ群落(低木林)を主体とした陸地や、貧栄養な湿地帯が広がります。人為的に植林等を行っていないことから、蒜山高原に生息・生育する動植物相と類似しており、貧栄養下でゆっくりと草地を主体とした二次的な自然が再生しつつある特異な環境となっています。これまでの調査では、里地里山といった在来の生態系に生息・生育する動植物として、哺乳類5種、爬虫類2種、両生類6種、鳥類32種、昆虫類267種、底生動物39種、植物種176種が確認されています。この中には、環境省レッドリストや岡山県レッドデータブックに掲載されている希少種21種を一部含みます。また、採掘事業の名残で一部地層断面が露出しており、珪藻土の良好な縞状のラミナが残存しています。

本サイトのポイントは「産業利用の跡地」であることです。かつて多くの珪藻土製品がつくられ、世の中の産業を支えていたこの地が、いまでは多様な動植物の生息・生育地となりました。現状の生態系を維持しながら、希少種の生息・生育地として機能させること、および動植物や珪藻土層の観察会を通じて自然環境・地質・採掘産業に触れる教育の場として活用することを目指します。

今後の対応
昭和化学工業は、地域社会と連携しながら本サイトの保全と適切な管理を継続し、生物多様性の維持向上に取り組み、持続可能な社会づくりに貢献してまいります。